終戦前夜
1945年8月14日23時半。「最後の空襲」で焼き尽くされた街があった
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1945年8月15日、日本は戦争に負けた。
そのたった半日前に、「最後の空襲」に襲われた街があった。終戦があと1日早ければ奪われる必要のなかった266の命が、そこで犠牲になった。
8月14日午後11時半ごろ。
ちょうど、昭和天皇が玉音放送を録音しはじめようとしていた頃だ。数十機のB-29が、房総半島付近から侵入した。
向かった先は、埼玉県熊谷市だった。総務省の「熊谷市における戦災の状況」の冒頭には、こんな文書がある。
「昭和20年(1945年)8月14日、この日は熊谷市民にとって永久に忘れることのできない日である」